※ Last Updated:09/01/2023
🦋HOME🦋 > DEAF >自分に合った働き方が見つかる聴覚障害者の仕事の探し方
–就けない職業やストレスとの向き合い方も解説–
こんにちは。Butterfly Worldのノウリです。
あなたはきっと、こんな悩みを抱いて、この記事に辿り着いたのだと思います。
・聴覚障害者の求人をどうやって探すのか、何があるのか知りたい
・聴覚障害者が就けない職業はあるのだろうか?
・職場に迷惑がかからないか気になる
・仕事でどうコミュニケーションを取ればいいんだろう
・聴覚障害者ができる働きやすいおすすめの仕事はなんだろう
・仕事のストレスとどう付き合えばいいのか知りたい
生まれつき聴覚障害者だった人も、最近になって聴覚障害だとわかった人も就職や転職、仕事における悩みまでモヤモヤしていることがある…これを解決したい…!
なにを隠そう私も、3歳から聴覚障害者となり、3回転職していろいろな経験をしたのち今に至っております。
自分に合った仕事を探すのは大変だったし、逆にやりたい仕事があってその能力を身に付けてもできなかったり、中には差別をする人もいたりといろいろな経験をしてきました。
聴覚障害者として仕事で実績を認められたり、内定をもらったりするのは簡単なことではないのは確かです。
また、私のようにキャリアを作ってガンガン働きたいという人ばかりではなく、それなりに普通にストレスなく働ければよくて、それを求めているという人もいるということも知っています。
そのため、本記事はそんな同じ聴覚障害者として、いろいろな悩みを持った人たちが解決できる内容にこれまでの経験からまとめています。
ひとつ確実に言えるのは、
「たしかに普通の人と比べれば、転職活動もキャリアを作るのも大変です。ただし、戦い方を間違えない、自分に合った環境を見つけることで、自分を応援してくれる人が必ずいる」です。
そこで本記事では、
・キホンとなる聴覚障害者の仕事の探し方を公開し
・その中でも聴覚障害者が就けない職業を理由とともに解説し
・働きやすい仕事やコミュニケーションの取り方から
・職場での不安の払拭とストレスとの付き合い方まで
厳選して解説していきます。
障害者手帳3級所持、後天性の聴覚障害者。
大手日系メーカー、外資系投資銀行など転職回数は計3回。実生活や仕事では補聴器を使用し、読唇術を使用して声も聞きながら会話をしている。
目次や本記事の詳しい説明の前に、メインである聴覚障害者の仕事が見つかりやすいサイトを先に紹介してしまいます。
聴覚障害者の仕事の求人の探し方
仕事を探すとき、普通の一般の人が使っているようなサイトはあるけど、聴覚障害者向けのサイトってどうなんだろう?
そもそも、どっちを使ったらいいのか分からないな…。それぞれのメリットとデメリットはなんだろう?
いろいろ悩むよね。私も最初の頃は何がいいのか分からなかったけど、今なら経験してわかるようになったから解説するよ
就職や転職活動をする時には、就職サイトやエージェントを利用したり、直接企業へコンタクトを取ったりといくつか方法があります。
ちなみにですが、私ノウリが就職活動で入社を決め内定をいただいた経由はこんな感じです。
・1社目:就職活動フォーラム参加経由(新卒)
・2社目:直接企業へコンタクト経由
・3社目:転職エージェント経由
・4社目:直接企業へコンタクト経由
なお、就職活動フォーラムは障害者専用、転職エージェントも障害者専用、直接企業へコンタクトはダイバーシティをしている企業(今はたいていの大企業ならやってる)です。
障害者向けの転職サイトのメリット・デメリット
メリットは障害を理由に断られません。
もともと、障害者を採用することを前提としているので、障害の有無や内容を理由に見送りになることはありません。
デメリットは求人が制限されることがあることです。
時期によって企業が障害者を募集する時としない時があるため、普通のサイトよりは求人は少ない時期があります。
ただ、昔よりはかなり障害者向けの求人が多くなっているので、ダイバーシティ&インクルージョンに理解がある企業であれば、障害者であっても健聴者と同じく募集をしています。
エージェントやサイトの利用についてですが、もちろん一切料金は発生しません。
エージェントを利用するとなると、マンツーマンでエージェントが自分の希望に合った案件を紹介してくれるので料金が発生すると思いがちですが、エージェントは成果報酬型なのでエージェント経由で内定が決まった場合に内定先から報酬が支払われます。
ですので、エージェント側も親身になって求職者が納得して就職が決まるように履歴書の添削や面接対策などを教えてくれます。
一般向けの転職サイトのメリット・デメリット
メリットは、これまでの実績やスキルだけを見て判断してくれる。
デメリットは、能力があっても障害を伝えるとそれを理由に断られることが9.5割です。
難聴の場合、一般のエージェントやサイトも利用できます。逆に、一般の人が障害者向けのエージェントやサイトは利用できないので、ある意味、特権と言えるかもしれません。
ただ、自分の経験上なかなか難しいです。
エージェントやサイト経由で募集事項を見て、企業の欲している能力を持っていたとします。エントリーする前に、直接企業のHPを確認して、ダイバーシティ&インクルージョンを掲げていたとします。
それでもほぼ断られます。何故でしょう?
これまでの実績も能力も申し分ないし、ダイバーシティ&インクルージョンも企業は掲げています。
理由は、法に触れるので求人票には書いてはいませんが、この場合、企業は募集しているポジションには“特別な人”ではなく、“普通の人”で埋めたいからです。
なので、見送りになるときは「今回、障害者は募集しておらず…」と直接は言ってきません。何度も言いますが、そう言ってしまうと法に触れるので、別の言葉で見送りの連絡が来ます。
それでもチャレンジしてみたい場合は、大手で一番案件を取り扱っている以下の2つのサイトをおすすめします。
よい経験にはなるので、障害者向けのサイトと併用して進めていくといいです。
私ノウリの実際の経験ですが、エージェントにコンタクトして秒で見送りの返事が来た時は驚きました。返信の時間的にも、返信内容にも企業に確認していないことは明らかでした。つまり、企業に確認せず、求人の募集スキルをすべて満たしていて、能力があるにも関わらず、エージェントの独断で障害者である私を落としたのです。
また、これから就職活動する人がダメなエージェントに当たらないためにも、今までの就職活動で障害者差別があった企業や個人名は記録してあるので、知りたい人はコチラからご連絡ください。
これは、多様性を持つ全ての人が生きることのできる社会を作るための活動でもあります。
聴覚障害者が就けない職業や仕事ってある?
ここでは“難しいけど就ける仕事”ではなく、現在の日本でダイバーシティが導入されておらず、ほぼ絶対といえる確率で就けない職業を、これまでに転職3回した経験から紹介します。
・自衛隊(陸・空・海すべて)
・警察官(刑事)
・消防士
・宇宙飛行士
他にもあるかもしれませんが、ほぼ公僕や身体を張る仕事は緊急時における無線や電話などが扱えないと難しいという感じになります。
ちなみにですが、能力があっても無理でした。
そもそもの募集事項に「聴力:正常」と書かれているのです。このダイバーシティが当たり前のご時世に堂々と書かれているのです。
しかし、事務職などのシステムエンジニアや経理職、法務職などのバックオフィス系であれば、就くことはできます。
第一線では活躍できないのですが、バックオフィスとして支える仕事でよければできます。
私は、無理でしたが。
聴覚障害者ができる働きやすいおすすめの仕事
求人の探し方と就けない仕事についてはわかったけど、どんな仕事に就いたらピッタリなんだろう?
自分にどんな仕事が合っているのか知っておきたいな
仕事を選ぶのに、一般の健聴者も聴覚障害者も耳が聞こえにくい以外は能力に差はないから、考え方はそんなに変わらないよ。けど、何をしたらいいかわからないって人のために紹介するね
聴覚障害者といっても、十人十色で人それぞれだから働きやすさは人によって違うんです。
ただし、ハンデがあるのが耳なので、人とあまり話さなくていい仕事が選ばれやすい傾向にはあるかと言うと、実はそうでもありません。
このあたりは健聴者と聴覚障害者というより、コミュニケーションが好きかどうかで選ばれています。
例えば、人と話さなくてもいい仕事といっても幅広いのです。
・誰ともなるべく話さず、黙々とPCなどに向かって仕事をしたい
・社内の人となら最低限会話はしたい
・社外との会話や会議はしたくないが、社内の人との会話や会議には参加したい
これくらいあります。
これはそれぞれ聴こえの度合いにもよりますが、自分がどのレベルであればストレスにならないかを知っておくと仕事がしやすくなります。
また、面接のときにそれを伝えることで働きやすい環境を作ることができます。
そういったことを伝えるには、障害者に特化した転職サイトが大いに力を発揮してくれます。
dodaチャレンジ
Agent-Sana
atGPジョブトレ 聴覚障害コース
参考までに、聴覚障害者が就いている業界と職種についてデータを置いておきます。
引用元:UMBRE
仕事でのコミュニケーションの取り方
人より聴こえにくいことで、ほとんどの人がここで悩んだり、ストレスを感じたりする人がいます。
でも、実は聴こえる人であっても、コミュニケーションの仕方に悩んでいる人は同じくらいいます。
彼らは聴こえますが、聴こえたからといって全員コミュニケーションが上手い・取れるというわけでもないので、悩みの中身は違えど悩んでいる人はいます。
ここでは、聴覚障害者のコミュニケーションについて書きますが、これまでにこんな人がいました。
▶音声で経験談を聞き流す🎧
とある口頭で会話が可能なレベルの聴覚障害を持った人が、ダイバーシティのある企業に入社しました。仕事の仕方、どれくらい聴こえているか、必要な配慮など、面接ですべてお話しした上で双方同意のもと、その企業で働くことになりました。
周りもその人と話すときは配慮し、会議などの情報もリアルタイムで文字起こしをし、終わった後には議事録を共有するなど、本人も仕事の進め方に問題ないと言っていました。
でも、数ヶ月後にその人はストレスで辞めたのです。辞めるときに何が原因だったか聞くと、驚きの答えが返ってきました。
それは、仕事中に他の人が雑談をしていて、盛り上がっていて、でも自分は聞こえないからその輪に入れなくて疎外感を感じるとのことでした。
つまり、仕事以外のことでストレスを感じ辞めたのです。
これは何が問題だったかというと、企業側は仕事の配慮をしているので、問題はないのです。
仕事以外の雑談は必須ではないし、もし気になるのであれば「今なに話してるの?」と話に入っていくことができます。
これは、普通の健聴者であっても、聴覚障害者であっても同じことが言えるので、話に入っていける性格かどうかの問題になってきます。
企業側は聴覚障害者だとわかって採用しているので、『聴こえなくて分からなかったら聞く』これを普通にコミュニケーションの一環として入れていいのです。
仕事で職場に迷惑がかからないか不安…はどうすればいいか
ここで言う”迷惑”とは、“聴こえないことで何度も聞き返したりして迷惑をかけないか不安…”や、“聴こえないことで聞き間違いがあったりして迷惑をかけないか不安…”などだと思います。
結論を言うと、これはどうしようもないです。
“聴こえないことで”と言いますが、こちらから言わせれば、話し方が下手な人もいます。つまり、滑舌が悪いのです。
聴覚障害者ということで、いつもこちらに非があるかと思われがちですが、いつも自分が悪いと思わないでください。
また、聴覚障害者として採用されていて、ダイバーシティがあります。ここで、ダイバーシティについての意味を詳しく書きます。
差別をせず、本人にとって当たり前である状態を当たり前とすること
日本にいると、たびたび本当の意味のダイバーシティを理解していない人がいますが、ダイバーシティとは、健聴者から見て普通とは違うものでも、聴覚障害者にとっては普通であれば、それを健聴者はその当たり前を特別とせず、当たり前として実行することです。
説明がややこしいですが、つまり、ある聴覚障害者の第一コミュニケーション手段が筆談だとすれば、その人と話すためには筆談をするのが特別ではなく、当たり前のことなのです。
健聴者にとっては筆談が特別なことかもしれないですが、その聴覚障害者の人にとっては普通のことなので、それを一緒に働く健聴者は当たり前のこととしてやるのがダイバーシティなのです。
ダイバーシティを掲げている企業であれば、これをやるのが当たり前になってきます。
なので、迷惑がかからないか不安…と必要以上に心配しなくてもいいです。
ダイバーシティがあるので、健聴者も聴覚障害者も平等です。堂々としていましょう。
聴覚障害者が感じる特有のストレスとの付き合い方
ここまで、コミュニケーションの仕方やダイバーシティについて話してきましたが、それでもあまり強くない性格だと気にしてしまう人もいます。
その場合は、転職をして働きやすい職場を探したり、先ほどの仕事とは別の面である雑談が気になるなどのケースであれば、工場勤務などの雑談がほとんどない職場で働くなどして、自分に合った環境を探していくことになります。
今なら、完全フルリモートの職場もあるので、いろいろ探して自分で選んでいくことができます。
これは普通の健聴者も同じで、職場が合うか合わないかは働いてみないとわからないのです。
聴こえにくいストレス、人間関係のストレス、差別のストレス、いろいろあります。
これは職種や職場によって180度変わってきます。3回転職した身として断言できます。
仕事上の聴くことに関する悩みであれば、上司や人事に相談して配属先を変えてもらうなどできますので、こちらも一つの手段としてみてください。
聴覚障害者と仕事のまとめ
本記事にて、聴覚障害者の求人の探し方や就けない職業、働きやすいおすすめの仕事まで紹介してきました。
子供の頃から聴覚障害があるのと、大人になってから聴力を失ったのとでは感じ方が違いますし、後者の方がどうやって仕事をしたらいいのか悩むかと思います。
また、障害者手帳を持っているかいないか、これから取得しようか迷っている方もいるかと思います。
障害者手帳についてはここでは詳しく書いていませんが、障害者向けの転職サイトを使うには手帳を持っていることが条件のことが多いため、取得すると便利です。
その障害者手帳を取得し、障害者専門の転職サイトを利用すると、転職エージェントに相談を聞いてもらうこともできるので、自分に合った仕事が見つかりやすくなります。
私たち聴覚障害者は普通のサイトも使えますが、専門のサイトを使えるのは私たちだけなので、使った方が仕事の幅が広がり、見つけやすくなり、内定も早くなるので、利用しないともったいないです。